このページの情報は 筑波大学附属盲学校・筑波大学附属視覚特別支援学校・弱視問題研究会の宇野和博さんより転載の許諾を頂いて掲載しております。(2003年2月4日発信以降の情報はこちら)
従来、特別支援学校や特別支援学級を対象としていた就学奨励費制度ですが、昨年
制度が改正され、地域の小・中学校の通常の学級に在籍する障害児にも適用になって
いることが分かりました。
就学奨励費とは、保護者が負担する教育関係経費について、家庭の経済状況等に応
じ、国及び地方公共団体が補助する仕組みです。
対象とする経費は、通学費、給食費、教科書費、学用品費、修学旅行費、寄宿舎日
用品費、寝具費、寄宿舎からの帰省費などです。
学用品費の対象の中には授業で使用する教科書以外の教材も含まれますので、授業
で使われる拡大教材も限度額はありますが、費用の半額が補助対象になります。但し、
世帯の収入が一定以上であれば補助は受けられません。詳しくは各市区町村の教育委
員会までお問い合わせ下さい。
尚、障害の程度ですが、学校教育法施行令第22条の3に規定があり、視覚障害の
場合は次のようになっています。
視覚障害者
両眼の視力がおおむね0.3未満のもの又は視力以外の視機能障害が
高度のもののうち、拡大鏡等の使用によつても通常の文字、図形等の視覚による認識
が不可能又は著しく困難な程度のもの
残念ながら高等学校に在籍する障害児は就学奨励費の対象になっておりません。
筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野です。
出版関係の業界紙「出版ニュース」(2月11日発売)に私のつたない文章が掲載
されます。弱視児の学習環境や視覚障害者の読書に関する現状と課題をまとめたもの
です。機会がございましたらご一読いただければ幸いです。
拡大教科書の問題ではありませんが、弱視者問題研究会は、8月10日、文部科学 省と大学入試センターに添付の試験に関する要望書を送付しましたので、お知らせ致します。
2013年8月10日
文部科学大臣 下村博文様
独立行政法人 大学入試センター長様
弱視者問題研究会 代表 並木 正
来年度、教科書出版社から発行される盲学校高等部の拡大教科書一覧が公表されま した。ご入り用の方はご一報いただければエクセルデータを折り返し添付いたします。 全体を概観したところ、標準規格通りに14ぽいんと程度の単純拡大教科書と18, 22,26ポイントのレイアウト変更拡大教科書を発行している教科書出版社もあれ ば、拡大教科書は一切発行していない出版社もあります。
拡大教科書の問題ではありませんが、弱視児・者にとって自立し、社会参加してい
くためには教科書と同じくらい重要な問題ですので、お知らせ致します。
弱視者問題研究会は6月15日に以下の要望書を 平野博文文部科学大臣、内閣府
障害者制度改革推進会議差別禁止部会長、独立行政法人 大学入試センター長宛に送
付しましたので、お知らせ致します。
弱視者問題研究会 代表 並木 正
日頃より弱視児童・生徒の学習環境の充実につきまして、ご理解とご尽力を賜り、
深く感謝申し上げます。
既にご案内の通り、弱視児童・生徒の見え方は一人ひとり異なります。よって厳密
に言えば、それぞれの弱視児の見え方に応じた適切な字体や文字の大きさも一人ひと
り違うと言えます。しかし、各種先行研究によると、多くの弱視者にとって読みやす
い字体はゴシック体、文字の大きさは18〜26ポイントにニーズの多くが集中している
ことが明らかになっています。
2008年6月に成立した「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(教科書バリアフリー法)によ
り、文部科学省が定めた拡大教科書の標準的な規格でも、これらの調査結果に基づき
教科書出版社は22ポイント、ゴシック体(B5判)で拡大教科書を作成し、それをさら
に0.8倍にしたもの(18ポイント相当)や1.2倍にしたもの(26ポイント相当)も同時
に出版するよう求めています。
実際に2012年度現在、義務教育段階については全ての
検定教科書の拡大教科書がこの標準規格に基づき発行されており、高校段階について
も盲学校採択の教科書を中心に拡大教科書の発行が増えてきております。
また現在、小6と中3の児童・生徒を対象に実施されている全国一斉学力調査でも弱
視児童・生徒用の問題は22ポイントゴシック体で編集されています。
しかしながら、大学入試センター試験では、10ポイント程度の問題用紙を単純に1.
4倍に拡大コピーしたものしか提供されていないため、弱視生徒にとっては問題を読
み間違えたり、読み速度が遅くなるというハンディが生じています。また、事実上セ
ンター試験がナショナルスタンダードとなっているため、それに準ずる国公立大学の
二次試験や私立大学入試、高校入試などにおいても弱視生徒に適切な試験問題は提供
されていません。言うまでもなく、試験は次の進路を決定する重要な岐路であり、将
来の自立と社会参加に大きく影響するものです。
つきましては、文部科学省が定めた拡大教科書の標準的な規格に倣い、弱視受験生
には18,22,26ポイント、ゴシック体の問題を提供していただけますようお願い致しま
す。この現状は差別を禁止している障害者権利条約や改正障害者基本法の理念にも反
していると思いますので、2013年に予定されている障害者差別禁止法の立法時におい
てもご配慮いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
また、国家試験や様々な資格試験においても現状は障害者が受験できる環境が整っ
ていなかったり、特別措置対象者の定義や時間延長の倍率、解答方法の配慮なども不
統一な状態になっています。将来的な共生社会の実現に向け、国全体の試験における
障害者への適切な配慮のナショナルスタンダードについても抜本的な検討を開始して
いただけますよう併せてお願い申し上げます。
文部科学省の委託事業として愛知県立芸術大学の柴崎先生が拡大教科書について2
年間、様々な角度から研究を続けてこられました。この度その報告書がホームページ
にアップされましたので、お知らせいたします。これからの拡大教科書のあり方を考
える上で大変示唆に富んだものとなっておりますので、お時間のある時にお読みいた
だければと思います。
「拡大教科書の効率的な作成方法について」報告書
紙ベースの拡大教科書の話ではないのですが、画面上で拡大できるタブレット型携
帯端末が弱視児の教材提供に有効ではないかという声があります。その中でも特に注
目を集めているのがアイパッドです。
そのアイパッドについてNHKラジオ第2放送の「聞いて、聞かせて。ブラインド・ロービジョンネット」の中で特集があります。
放送は、明日29日夜7時30分からです。聞き逃しても翌週日曜の朝7時30分から再放送がありますし、その後NHKのホームページにもアップ
されます。よろしければお聞き下さい。
ちなみに私もコメンテーターとして出演しています。
佐賀県が県立高校にタブレット端末を導入するという記事がありましたので、ご紹介します。
弱視者問題研究会は、12月1日に中川正春文部科学大臣宛てに
以下の要望書を送付しましたので、お知らせいたします。
要望書
日頃より視覚に障害のある児童・生徒の教育にご理解とご尽力を賜り厚く御礼申し
上げます。また、国連障害者の権利条約の批准に向け、インクルーシブな教育の実現
を目指し、中央教育審議会の特別委員会等で精力的に検討を進めていただいているこ
とに深く敬意を表します。
さて、弱視者問題研究会ではインクルーシブ教育における合理的な配慮について下
記事項の実現が重要であると考えております。視覚障害教育をはじめ、障害児教育の
充実に向け、何卒ご検討の程、よろしくお願い申し上げます。